現代の、特に日本では資本主義ならぬ労働主義
が流行っているように思えます。
資本主義時代の『お金を持っていれば勝ち組だ。稼ぎが多ければ良い』という
利己主義的思想が嫌悪されつつあり、代わりに『薄給でも働いて納税していれば偉い。
バイトでも働いて充実していればリア充』という思想が主流を占めるようになってきたと思います。
資本主義よりは良い思想だと思いますが、もう一歩進めるのではないかと私は思うのです。
と申しますのは、労働というのは人間や地球に益を成すものではなくなっている、
むしろ外を成すものになっている、という事に注目してほしいのです。
いかに仕事が人間の肉体、精神、文化に悪影響を与えるか。
地球や自然に悪影響を与えるかを論ってみましょう。
まず、多くの人を死に追いやるばかりか生き地獄を味合わせる原因となる『病気』について書きます。
そう、ほとんどの後天的な『病気』の原因は労働であります。
・毎日同じ事をする→体や脳の同じ所ばかりを使う→体のバランスが崩れる→病気になる
・稼ぐためにやりたくないこともやる(押し売り、顧客を騙す)→
精神を無理やり押さえつける→精神が病む
・労働市場(会社)で生き残るために部下をいじめライバルを蹴落とす→
逆襲されないように常に緊張し相手のあらを探し続ける→緊張過多による障害
・労働市場(会社)での生き残りのために無茶な命令や仕事を引き受けざるをえない→
ストレス→精神病
・満員通勤電車でヘロヘロだが会社についたら笑顔で元気に挨拶を強要される→肉体的精神的不快感→
自我崩壊、自殺
・長時間労働→ストレスがたまるが時間のかかる趣味で発散することは出来ない→暴飲暴食、パチンコetc
・雨でも風でも夏でも冬でも地震でも台風でも決まった時間に通勤→
体調管理不可能→病気を呼び込む
労働第一主義は人間の文化にも影響を当然あたえます。
・長時間労働の疲労、ストレスにより
時間がかかったり頭を使って理解する文化が廃れる(文学、映画、音楽)
・代わりに短絡的かつ直接的な娯楽がダイトウする(萌えアニメ、派手な音楽)
・食べ物飲み物も香りを味わうたぐいのものがなくなり、
直接的で過激なものが摂取されるようになる(紅茶、豆腐→アルコール、ラーメン)
労働は地球環境へもとうぜん影響を与えます。
・労働の為の不必要な仕事を作る→資源の無意味な浪費→環境破壊
・本来不必要な出勤,移動(営業など)→エネルギーの浪費→環境破壊
・労働環境の悪化によるストレスのため、
本来望んでいない消費をするようになる→大量消費→環境破壊
労働によって沢山の不幸が効率よく生み出されています。
なのに人々も国も社会も労働を求めてやみません。
逆に、労働が少なくて済めば、多くの問題は解決するでしょう。
ストレスと病気は減り、環境も良くなり、人々の物欲や消費欲も収まり、
蹴落とし合いから生ずる恨み妬みも少なくなるでしょう。
それに伴い、人間はより手間のかかる面倒な趣味や文化にのめり込み、頭も良くなるし
多様な芸術が生まれるでしょう。
昔は労働は尊いものでした。なぜなら皆にとって必要な物だったからです。
オートメーション化もなされず科学技術もそれなりだった頃は、
皆が暖かい家にすみ生活していくには熟さなければならない労働がいくらでもあったのです。
だから人が労働するのは当然と思われ、労働しないものには厳しくあたったのです。
一方、現代ではそれなりの暮らしをするのには労働力は有り余った時代になっています。
オートメーション化や機械科学が進んだ結果、必要労働量が減ってきたのです。
全くの正常進化です。
けれども「活けとし生きるもの労働すべし」という考え方は変わってません。
しかもフルタイムで働かなければいけないといった風潮です。
必要な労働が減ったという現実の中で、『めいいっぱい労働せねばならない』
という古い精神から生まれたシステムが無理やりまかり通っていることから不幸が巻き起こるのだと思います。
しかし近年の一部先進国において、新しい光が見えてきた気がします。
『そんなに贅沢したくない』『お金はそれなりでいいからノンビリしたい』
といった、一昔ではオカシイ奴扱いされない考え方の人間が増えてきたようです。
そして重要なのが、そういう思想が一部の文化人や金持ちの間で流行っているのではなく、
一般庶民の間で自然と出来上がってきた国があるということです。
一昔前の世代からは「草食系」だとか特異の目をもって見られている彼らは、
満ちたるを知ったように浪費はしません。しかし趣味にはそれなりにエネルギーを使います。
彼らはよりお金持ちになって贅沢することより、安定とゆとりある生活ばかりを望んでいます。
彼の国は新しいシステムというか価値観を創りだすでしょう。
具体的には週休4日とか労働体型・労働賃金の大幅な移行になるのでしょうか。
新しい価値観を体現し、それが世界に広まらない限り、
人間の労働によって地球は破壊され滅びるしかありません。
ただ不景気脱出の為に仕事を作るのではダメです。
皆が楽になるように、将来の労働が減るような仕事にお金をかけなければ成りません。
職がなくて困ってる人に、補助金を払ったりブラック企業を紹介するのではなく、
ユンボやトラックの免許を取らせて治山治水を行えばよいのです。
インフラやエネルギーの整備は農業から最新鋭のテクノロジー研究まで役に立ちます。
頭の良い人は十分な環境の中、研究開発すればいいでしょう。
そうやっていくうちに、オートメーション化と技術の発達によって
どんどん労働が減っていくでしょう。
その時、人々が労働の奪い合いをすれば人間は自ら地獄を作るでしょう。
人々が労働を望むことをやめれば、天国が出現していることでしょう。
藤子不二雄が書いた21世紀、
すなわち全自動で無料のロボットタクシーが町を走り、
昼間っから広大な公園の芝生で昼寝するセワシ君がいる世界を望みたいものです。